生きる為に過剰な搾取から逃げ続けている潜在保育士 前編

搾取保育園, 保育士, 潜在保育士

 

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長いので前編、後編と分けて書いていきます。

一般世間では待機児童とそれに伴う保育士不足が未だに問題となっているようです。
そこで出てくるのが「潜在保育士」というフレーズ。

保育士の資格を持っているだけでも「潜在保育士」というカテゴリーに入るらしいので私は「潜在保育士」ということになります。

日経新聞の下記の記事では潜在保育士を「問題解決の救世主になるかもしれない人たち」と表現しています。
潜在保育士50万人? 待機児童解消へ活用に動く

実際の数字は知りませんし、さほど興味もありませんが、ネットで少々検索した情報によると大体50万人から80万人位らしいです。

問題解決の救世主というと聞こえは良いのですが、そんな「美辞麗句」で心身を壊したり、経済苦で生活ができなくなり退職に至った保育士が、現場に戻って来るなんてことはほぼないと思われます。

私が保育士の仕事をしない理由

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私は過去に保育士の資格を使って働いた事がありますが、短いです。
若かりし20代の頃から現在に至るまで飛び飛びで働いた期間を通算しようやく5年半程しかありません。

しかも、それは保育園以外に子育て支援センター、認定こども園、私立の幼稚園や学童保育を合わせてのトータルの年数なので保育園だけの経験ではないのです。

私は若かりし短大時代にて既に、保育園での保育実習の度に40度前後の高熱でうなされ、何度も死にそうな思いをし自分には保育士の仕事は向かないという事を、はっきりと自覚しておりましたが

20代の頃はちょうど就職氷河期で経済的な事情の為だったり

30代後半以降は配偶者の仕事の都合により、引っ越しを頻繁にしている関係で、ある程度「融通のきく仕事」を探すしかなく、なかなか条件が合わず単発で働けるのが保育園のみだった

選択肢がほとんどなかったので期間限定と割り切り、かなり無理して働きました。

基本的に私はこれまで特に大きな病気をしたこともなく、普段は健康そのものなのですが、保育園で働くと過剰なストレスに苛まれてしまい

  • 食事は何を食べても美味しいと思えなくなり、ただ生きる為に食べている。
  • 飲酒量が過剰に増えたにもかかわらず、なぜか体重は不自然に減る。
  • 休日は外に遊びに行く気力も体力も全くなく、家に引きこもって寝るだけになる。
  • 常に体調を崩し精神的にかなり追い詰められ、延々と死にたいとブツブツつぶやくのが日常になる
  • 契約期間終了まで指折り数えてカウントダウンし、カレンダーの日付を塗りつぶし、ひたすら耐え忍ぶ

上記のように心身ともにかなり消耗し、常に風邪による酷い咳や気管支炎、高熱、胃腸炎、肺炎の一歩手前までいったりと、必ず病院通いが日常になるという、とても悲惨な生活になってしまいます。

保育園で働いていた頃の私は病気のデパートか?!と思うくらいの病弱ぶりでしたが、保育士以外の職種(事務や営業、販売、サービス業等)に転職すると3日程で心身ともに回復し、元の健康体に戻るのです。

私が保育園で保育士として働くと必ず体調がおかしくなると同時に精神も病みます。
私がこの仕事を無理に続けたなら、かなりの確率で衰弱死するか自殺するかのいずれかの結末になるでしょう。

ここまでくるとさすがに「私の本能が激しく保育士の仕事を拒絶している」としか思えません。
早死にしたくないので、私は保育士の仕事を一生涯の仕事としてやる気も予定も全くありません。

集団保育なのに個別保育の水準を要求される

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お子さんをおもちの親御さんや、子育て経験者の方ならご理解いただけると思いますが

子どもというものは幼いのでまだ善悪の基準が定まっておらず、歯止めが利かない習性があり、本能に従って元気いっぱい活動します。

その為、大人が考えもつかない行動をとる事はよくありますし、個性や性格、体格等それぞれ違いますので、大人がすべての子どもの行動を全部予測するのは不可能です。

保育士が保育園の仕事を辞める原因の1つに保育のプロなのだからという理由で過剰なサービス、過剰な責任を求められるのに耐えられないというのがあります。

子どもの不測かつ突発的な事故等のやむを得ない要因、例えば、子どもが鬼ごっこをして走っている時にバランスを崩してしまい、他の子どもとぶつかって怪我をしたとしても、保育士が責任を求められることもよくあります。

それから、どんなに気を付けていても、季節の変わり目や慣れない環境の変化によるストレス等で突発的に熱を出したり、体調を崩す子どもも当然出てきます。
同じ日に1人ではなく2人や3人等複数いる場合もあるでしょう。

その際には個別の対応が必要になりますので、保育士がどんなに頑張っても限界があり、他の子どもの対応にまで充分に手が回らない時がどうしても出てきてしまいます。

現在は大抵の保育園が、法律で定められた必要最低限の限られた人数で何とか保育業務を回しているというのがほとんどであり、一人一人の全ての子どものことを「常に目を離さずに見る」というのは物理的に不可能です。

保育園は「集団保育」の場なので、1人の保育者複数(3人~30人まで)の子どもを見ます。
例:0歳児だと保育士1人が概ね3人
1、2歳児だと保育士1人が概ね
 3歳児だと保育士1人が概ね20
4、5歳児だと保育士1人が概ね

 

ベビーシッターは「個別保育」ですので、1人の保育者1人~2人までのこどもを見ます。

上記のように、保育園とベビーシッターは基準がかなり違います。
それにも関わらず、保育園とベビーシッターを混同して過剰な要求をする方々が一定数おられるようですが

保育のプロという言葉だけが独り歩きし、保育のプロだから何でもできて当たり前と拡大解釈されているという状況が、保育士を過剰に苦しめているのです。

いくら保育のプロだからといっても、保育士も人間です。
集団保育ではできることとできないことは当然あり、保育園にベビーシッターと同じ基準を求められても無理なものは無理なのです。

個別のこと細かい対応をお望みであれば、それ相応の費用を支払って、ベビーシッターを利用することを強くおススメ致します。

ボランティアのような扱いと社会的地位の低さ

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保育園の保育士は、膨大な仕事量を何とかこなすために長時間労働の常態化、さらに最悪の場合は休日返上をせざる得ないという過酷な環境にいます。

時々、保育園をコンビニのようなサービス業だと勘違いされている保護者の方がおられますが違います。

保育園は児童福祉施設であり、保育は児童福祉事業です。
下記をご参照ください。
「ウィキペディア」より転載:保育所

保育園は、保護者が働いているなどの何らかの理由によって保育を必要とする児童を預り、保育することを目的とする通所の施設。日本では、児童福祉法第7条に規定される「児童福祉施設」となっている。

「とこちゃん保育グループ」のHPより転載:保育は何業か?

保育はサービス業ではない。保育は、児童福祉事業。しかし、最近の保育を取り巻く環境の変化から、サービス業に傾いている保育施設もある。

【保育園について】
保育園を管轄しているのは、厚生労働省。児童福祉法に基づく施設のひとつで、正式には「保育所」と呼びます。「児童福祉法 第三十九条」に “保育所は、日日保護者の委託を受けて、保育に欠けるその乳児又は幼児を保育することを目的とする施設とする” とあり、保護者が仕事をしているなどで子どもを見てあげられない時間、保育をしてくれる場所、というイメージです。
また、保育に関する情報提供をしたり、乳幼児等の保育相談に応じてくれたりするほか、子どもの発達状態に合わせた活動を提供します、とありました。

では、「サービス業」とはいったい何なのでしょうか?

まず、「サービス」という言葉を辞書で調べてみます。
①人のために力を尽くすこと。奉仕。②商売で、客をもてなすこと。また、顧客のためになされる種々の奉仕。③商売で、値引きしたり、おまけをつけたりすること。④運輸・通信・商業など、物質的財貨を生産する過程以外で機能する労働。用役。役務。
また、経済用語での「サービス」は、「売買した後にモノが残らず、効用や満足などを提供する、形のない財のことである。第三次産業が取り扱う商品、または役務である」とありました。

上記のように詳しく解説されています。明らかに違うのです。

最近は一般企業も保育事業を行うようになり、サービス業のような事業運営をしているのが原因で誤解されやすくなってしまったようです。

残念ながら保育士の仕事をただ子どもと一緒に遊んでいるだけの楽な仕事だから給料が低くて当たり前とか、誰でもできる底辺の仕事というイメージで捉えている方々もまだまだ多いようですが、そんなお気楽なものでは決してありません。

生身の人間相手なので常に臨機応変な対応を求められますし

登園時に子どもの健康状態怪我の有無等を細かく確認し、園内外で事故に遭ったり怪我をしない様に神経をすり減らし、常に気を張った状態で先を読んで安全配慮をしながら、ありとあらゆる雑務や事務を含めた膨大な量の仕事を効率よくこなさないといけないのです。

より具体的な仕事内容は下記をご参照ください。
「保育士くらぶ」のHPより:【保育士の仕事内容】1日中大忙し…やりがいや本音、資格のことまで徹底解説

昼休憩すらとれずサービス残業が蔓延する保育の現場

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日本には労働基準法という労働者の権利を守る為の法律がありまして、事業主は労働者に対して昼の休憩時間を、一定の条件のもとに必ず付与しなければなりません。

しかしながら、休憩をとるのが悪い事のような考えをお持ちの人が一定数おられ、その考えを押し付けられてとるべき休憩もろくにとれない傾向にあります。

私が20代の時に地元の沖縄で1年位、公立の保育所で臨時職員としてフルタイム勤務の保育士をしていた時の話です。
雇用通知書には労働時間が7時間45分で休憩時間は45分付与と明記してありました。

昼休憩は11時半~15時までの間で、職員同士協力し合いながら時間を調整し、交代で休憩をとるというのが基本のルールでした。

でも、子どもの突発的な体調不良やお昼寝時間に寝付けない子どもがいるとき等は、忙しくて30分しかとれない時もたまにありました。
そういう時はまぁ、仕方ないかな~と割り切っていましたが

ある時、お昼寝の時間に子どもが全員寝付いたので、いつも通り私が昼休憩をとろうとすると、たまたま近くを通りかかったらしい所長が私に対して

「臨時職員はとことんこき使います。この忙しい時に休憩時間をとるなんてとんでもない。仕事しなさい」と暴言を吐いたことがありました。

当時の私はその保育所が保育士として初めて勤務する職場だったので、忙しい時には臨時職員は休憩をとってはいけないものなのか??と疑問には思いましたが、その時はとりあえず指示に従い仕事に戻りました。

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でも、どうしても納得がいかず、後で同じでクラスで働いていた仲の良い正職員にその事を確認すると、それは所長の勝手な考えだからそれに従う必要はないと教えてもらいました。

私はそれ以降、所長に何を言われてもスルーし、堂々と昼休憩をとりました。

公立保育所は臨時職員といえども準公務員扱いで、職員と同じように休憩はきっちり取れます。

そのことをちゃんと主張できれば、多少頭のオカシイ所長や職員がいたとしても異議を唱えやすいので労働環境はかなりマシな状況ではあると思います。

ただ、民間の保育園で5年以上務めたことのある人から直接聞いた話ですが、民間の保育園で先輩保育士が昼休憩はとらないのが普通という考えを持っていると、新人保育士もそれに逆らえず昼休憩はとらないのが普通になるそうです。

ネットで検索してもそういう話が普通に出てきますので、未だにちゃんと昼休憩がとれない保育園は多いのかもしれません。

昼休憩については労働基準法34条1項に明記されております。
詳しくは、労働基準法上の45分・60分の休憩の「3つの原則」正しいルールを解説をご参照ください。

さらに、昼休憩がとれないだけではなく、サービス残業と仕事の持ち帰りも、毎日のようにあります。

どんなに頑張って働いても仕事が終わらないのです。なのに薄給。あり得ません。

下記のサイトがリアルにその状況を語っていて、非常にわかりやすいです。
「これだけかよ…」 私が保育士辞めたい理由

 

生きる為に過剰な搾取から逃げ続けている潜在保育士 後編
へと続きます。

搾取保育園, 保育士, 潜在保育士

Posted by sanae