待機児童問題でいくら議論しても話が平行線になる理由 前半

陰謀系保育園, 保育士, 搾取

保育士の労働環境と待遇改善を求める話題はタブー?

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以前、

生きる為に過剰な搾取から逃げ続けている潜在保育士 前編

生きる為に過剰な搾取から逃げ続けている潜在保育士 後編

を書きました。

正直言ってSNSで保育士の労働環境と待遇改善を求める話題を書くと、かなり反応が悪くなってしまうなと感じる事があります。

保育を求める保護者にとっては、保育園落ちてどうしたらいいんだろうと本当に困っているのに、人の事情なんて考える余裕なんてない。というのが正直な気持ちだと思いますし

子どもを保育園に預ける事自体を育児放棄のような感じで捉えられ非難されているのではという、非常に極端な思い込みをしている方々

保育園や保育士に対する要望と理想があまりにも高すぎる方々

等が一定数おられるという事情があるからだと思います。

そういう方々にとっては、保育士の労働環境と待遇改善を求める話題を書く人間を、疎ましくて厄介な存在に感じるでしょうし

「保育のプロなんだから何でもできて当然でしょう?」
「人が困っているのに何で助けてくれないの。自分さえ良ければそれでいいの?」
「自分がやりたくて選んだ仕事なのに何で文句言うの?」
「保育の仕事が自分の理想と違っていたからといって、それを親に当てつけないで」
「保育士なんて単純労働だから、給料が低いのは当然でしょう」
「誰でもできる底辺の仕事でしょう。それしかできないんでしょう」

といき過ぎた要望や理不尽な固定概念を押し付けてくる方々も実際に時々おられます。

以前の私にはそういう意見に対して、真っ向から反論していた時期もありました。

でも、いろんな事例を通して、全く余裕がなく悩み苦しんで自分を必要以上に責めている保護者の方々の存在を知ってからは

ただ、それは必ずしも本心ではなく自分は間違ってない、悪くないと、壊れそうな自分を必死に守っている場合もある。

という事に気づき、それ以降は真っ向から反論するのを止め、やんわりと答える程度にとどめるようになりました。

今の世の中、自分の事だけでいっぱいいっぱいで必死に助けを求めている保護者の方々が本当に増えてきているんだろうなと、インターネット上のニュース記事を読んでても感じます。

それが嫌という程わかっているので、こういう話題は避けた方がいいのかもしれないと考え、紛争の種になるからとそのネタを書くのを敢えて控えていました。

でも、それだと現場にいる保育士が過剰な自己犠牲を強いられる状態が延々と続きますし、そういう状況下でまともな保育をするのは限りなく不可能に近いです。

無理が続くことによって、虐待や支配的な保育、管理的な保育、理詰めの保育という状態が日常化するという悲惨な保育園も出てきてしまっていると思うのです。

もちろん、保育士の資質が原因である事もあり、一概にいえない場合もあります。

でも大半の原因は保育士がどうしようもないところまで追い詰められている、という現実があるからなのです。

どんなに工夫を凝らして頑張ったとしても、人手不足や予測しきれない事態が続くと保育士も人間なので余裕をなくしてしまうこともあります。

余裕がない状態で限界を超えてしまうと、保育士は冷静さを失います。

そうなると、保育されている子どもたちにもどうしても、何かしらの形で影響が出るようになってしまいます。

それから親同士の対立やいがみ合いに子どもたちが巻き込まれるケースもあります。

それらの大人の都合によって、子どもたちにとっても辛い状況になってしまう事があるのです。

そういう現実を直視せずこの話題をスルーすれば、大人同士はお互いにいがみ合うことなく、表向きは平和に過ごせるのかもしれません。

ただし、その陰で最も苦しむのは子どもたちであるという事実を認識して欲しいと考え、批判されるのを承知で敢えてこの話題を取り上げることにしました。

この話題はかなり根深い問題があるので、前半では、親が子どもを預けるパターンとそれぞれの大人の事情を簡潔に書いていきます。

就労証明書を偽造してでも子どもを保育園に預ける

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私はトータルで5年半くらいという短い期間ではありますが

無認可保育園、認可保育園、公立保育園、認定こども園、子育て支援センター、公立幼稚園、私立幼稚園、公立小学校の学童保育等で1日数時間の勤務、1日単位の単発や数か月の短期契約、長くても1年間契約という働き方をしてきた経験があります。

多数の園での勤務を経験してきたので、それぞれの現場の実情や疑問に思うような現象を一通り把握しています。

その中で、今まで働いてきた保育園での話ですが、ほぼすべての保育園で就労証明書を偽造してお子さんを入園させている保護者がいる。という話を聞いてきました。

何でわかるかというと、仕事している筈の〇〇さんをどこそこで見た、今は働いてないのにこどもを預けている等の保護者同士の噂話、職員同士の話等が入園後に何らかの形で出てきてバレてしまうのです。

保護者の事情を察して黙認する園もあれば、園や他の保護者が役所の担当窓口に報告して退園するに至るケースがあったりといろいろ見聞きしました。

そして、正規の手続きを経て苦労して子どもの保育園入園を叶えた保護者にとっては、そういう不正を行う保護者の事を疎ましく感じたりするのは自然な感情だと思います。

不正で入園手続きをしたそれぞれの保護者にも、それぞれの事情があるのでしょう。

でも、その陰でどう考えても保育が必要なのに入園できなかったという世帯が実際に出てきてしまっているのです。

理不尽な事に要領よく行動した保護者が、保育園への入園を実現させているという例はそれほど珍しくない事なのです。

そうなると保護者同士の感情は複雑なものになりますし、親がどんなに取り繕ったり隠そうとしても、あまり良くない空気が流れます。

子どもは勘が鋭いのでそういう空気を読み取り、必ず何らかの影響を受ける事になります。

次は、一部の自営業者やアリバイ会社が偽造の就労証明書を出しているという事と、それを利用する保護者の事情等を書いていきます。

自営業者かアリバイ会社のどちらかを利用して預ける

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自営業者アリバイ会社の2つの例を出して説明します。

まずは自営業者

自営業者に嘘の就労証明書をだしてもらう場合は、比較的融通が利くようです。
下記の例がわかりやすいと思います。

この方は生活費の為にやむなく働くことを決意されたようです。

事情は家庭によって様々であり、良いか悪いかと単純に判定できるようなものではないと思いますので、こういう感じなんだという参考例としてご覧ください。

Yahoo知恵袋
保育園入園で嘘の就労証明書はバレますか?

次に、この方がどうして働きに出ようと考えたのかは、文面からはわかりません。

ただ、回答者の内容から察するに、自治体や園によって状況は変わってくるとは思いますが、やはり普通に偽造での就労証明書が利用されていたようです。

理由はどうあれ賛否両論があり、かなり厳しい意見の方が多いようですね。

教えて!goo
保育園 源泉徴収票

 

それから、この方の場合はどう考えても優先して保育園に入れるケースの筈なのに、どうしてこのような状況に至ってしまったのかと考えてしまいます。

教えて!goo
不正して保育園に入れましたが・・・

 

過去に経済的に余裕があり、働く必要がないのに子どもを預ける為に不正で入園させ、優雅な生活をする親のケースを実際に見聞きしたことがあります。

おそらくそういう人の存在が、本来真っ先に保育を受けるべき母子家庭或いは父子家庭の世帯の子どもの入園を妨げているパターンもあるのかもしれません。

次にアリバイ会社

アリバイ会社を利用する場合、源泉徴収票の件以外は何とかなるようです。
アリコ・トラスト[アリバイ会社]

これらの例は家庭によって状況は違うので、何とも言えません。

突き詰めて事情を調べていけば、それぞれの立場からいろいろな見解が出てくると思います。

育児支援やキャリアの維持とリスク回避の為に預ける

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誤解のないように補足しておきます。

経済的に余裕があり、特に働く必要がない、働かなくても生活に困らないけど子どもを預ける為に正規の手続きを経て入園手続きをする保護者のケースに関してですが

いくつか例を挙げますと

●子育てから逃げたいとかではなく、上の子が発達障害重度のアレルギーを抱えていて自分や配偶者だけでは対応できず、下の子だけを預けるという場合もあります。
その逆に上の子を預けて下の子を家で自分で見る場合もあります。

●母親或いは父親の性格、子どもの性格や体質等によって子育ての状況は全く違ってきますので
核家族で頼れる人がいなくてワンオペ育児によって追い詰められた過去があり、育児ノイローゼや虐待等を避ける為に敢えて預けている場合もあります。

●単純に今までの仕事のキャリアを維持する為に子どもを預ける場合もあります。
奥さまが主な稼ぎ頭なら尚更保育は必要ですね。

この場合は現実問題として、女性が一度仕事を辞めて子育てに専念し、再び社会復帰しようとしてもパートや派遣等の低賃金労働にしか就けないパターンの方が多いので、それはそれで仕方がないと思います。

仮に旦那さまの稼ぎが現状は良かったとしても、ローンを抱えていたり、今後何らかの病気や怪我で働けなくなる事もないとは言い切れません。
奥さまに収入があるとその際のリスク回避にもなりますね。

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ここまでは親が子どもを預けるパターンとそれぞれの大人の事情を簡潔に書きました。
長くなるのでわかりやすいように前半、後半と分けています。

後半からは保護者や世間一般の保育園に対する要望や理想、その対応に苦心する実際の保育の現場の実情を書いていきます。

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Posted by sanae